経済学部、経営学部、商学部などに在籍する学生なら、レポート課題で「ある企業の財務諸表分析をしなさい」と言われることがあるのではないでしょうか。

簿記、ビジネス検定、公認会計士など会計に関わる科目を勉強している人であればなんとなく見当がつくかと思われますが、学生の全てが財務諸表について深く学んでいるわけではありません。

そこで本記事では、会計について研究している筆者が参考例を用いて財務諸表分析レポートの書き方について分かりやすく解説していきたいと思います。

財務諸表分析レポートとは

財務諸表分析とは、企業の利害関係者(おもに経営者・投資家・債権者)が財務諸表を分析、比較、解釈することです。それをすることによって企業の現状と問題点を知ることができます。

経営者であれば分析をもとに企業を改善していくことができますし、投資家・債権者であれば本当にこの企業に資金を提供していいのか、最初は良かったけど雲行きが怪しくなったからやめとこうか、などの経済的意思決定に役立ちます。

投資家というと学生の皆さんにとっては関係のない話に聞こえるかもしれませんが、株を買ったりすることも実は立派な投資の一つです。最近学生のうちから株を買っている人や積み立て投資をやっている人が多いという話をよく聞きます。そのようなときにも財務諸表分析は有用な手段の一つとなるのです。企業の利害関係者において財務諸表を分析することは、学生に例えるなら今後のキャンパスライフを決めるサークル選び、ゼミ選びぐらい重要なことなのです。

まず、財務諸表分析の第一歩として、財務諸表を手に入れなければいけません。そこで、EDINETなどから調べたい企業名で検索し、pdfファイルで有価証券報告書もしくは決算短信をダウンロードしましょう。

注意点

ここでの注意点ですが、皆さんが一般に聞く企業の名前と企業の正式名称が違うことがあるので注意してください。例えば、有名高級ブランドGUCCIは株式会社GUCCIではなく、株式会社ケリングジャパンだったりします。

有価証券報告書を見てもらうとわかりますが、とんでもないページ数になっているかと思います。ですが、安心してください。財務諸表分析においては全てを見る必要はありません。その中の「損益計算書」「賃借対照表」「キャッシュフロー計算書」の中の勘定科目を見るだけでOKです。

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財務諸表分析レポートで絶対に押さえるべき指標

では、具体的に何を調べていったらいいのでしょうか。まず、重要な指標について解説する前に財務諸表分析の方法と目的について解説します。

財務諸表分析の方法は大きく分けて二つに分けることができます。その二つとは、実数分析と比率分析です。

実数分析とは

実数分析とは、財務諸表に表示されている売上や売上原価など、金額をそのまま用いて年度ごと、企業ごとに比較する分析方法です。

こちらは主に「量」を測るものだと考えてください。年ごとに比べることで「A社は売上高が今年2倍になったからよさそう。」という情報や、企業ごとに比べることで「ソフトウェア企業のなかでもC社は広告費を重点的にかけているな」などの情報を得ることができます。

もう一つの分析は比率分析です。

比率分析

比率分析は二つの値を割合で表すことで得られたデータをもとに分析を行うことを言います。

こちらは実数分析よりもよく使われる分析方法になります。なぜなら、「量」を測る実数分析では得られなかった「質」を測ることができるからです。

例えば、同じ業種で売上高が100万円のA社と10万円のB社があるとします。実数分析だとどう見てもA社のほうがいいと判断できますよね。ですが売上高と営業利益の二つのデータで売上高営業利益率を出したところA社は3%、B社は40%でした。その場合どちらの企業がいいと感じますか。

こちらの場合B社の方が優秀であると判断できますね。極端な話、売上が一兆円で「量」的には優秀だったとしても、利益が一円であったら「質」的にダメな企業だと判断できるということです。

察しのいい方は分かると思いますが、財務諸表分析レポートで絶対に抑えるべき指標は主に比率分析の方で使います。実数分析で大きく全体像を把握し、比率分析で企業のデータ推移の主な原因を探るというのが財務諸表分析の流れになります。

財務諸表分析の分析目的は大きく四つに分けることができます。それは「収益性分析」「安全性分析」「生産性分析」「成長性分析」です。その分類の中で特に重要な指標を合わせて解説します。

収益性分析

一つ目は「収益性分析」です。収益性とは企業の利益を獲得する能力を表します。しかしその利益は単体で得られるものではありません。自動車産業であれば製造機械、飲食店なら土地や不動産のように事業活動において資本(資産)の利用と共に得られるものなのです。なので、収益性は投下資本利益率(ROI)という指標をよく使います。

ROIの求め方

投下資本利益率(ROI)=利益(年間)/資本(年平均)

ちなみに資本はデータがあれば年平均(期首資本+期末資本)÷2で計算できるのが望ましいです。なぜそうなるかについて、資産はストック、利益はフローの意味合いをもつという観点から説明できますが、詳しくは割愛します。この利益と資本は求めたい情報に合わせて、総資本、経営資本、自己資本、当期純利益、経常利益、営業利益などを入れることで計算することを覚えておいてください。

売上高営業利益率の求め方

売上高営業利益率=営業利益/売上高

経営資本回転率の求め方

経営資本回転率=売上高/経営資本

ROIを売上高で媒介にして分解するとこの二つの式が生まれます。これによって投下資本利益率の高低の原因が、前者は商品のマージン率によるもの、後者は資本の利用状況にあると考えることができます。

ちなみにこれから様々な指標が出てくると思うのですが、それを暗記しやすくなる方法をお教えします。まず、〇〇△△率ときたら基本△△/〇〇で求められます。そして回転率、回転期間は必ず売上高を用います。××回転率なら売上高/××、□□回転期間なら□□/売上高です。

これは別の授業でも出てくる可能性があるのでぜひ覚えておきましょう。

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安全性分析

二つ目は「安全性分析」です。安全性とは企業の財政基盤の健全さを意味します。財政基盤が健全であるとは、企業が追っている債務を十分に弁済するだけの換金可能な資産を有しているということです。つまり、企業が債務弁済能力、支払い能力がどれだけあるかを分析することになります。

これらの指標が低い場合、収益でいい成績をだしていたとしても最近でいうコロナのような臨時的な損失を受けたときに資金が回らなくなって倒産する可能性を抱えていると言えます。

企業の債務弁済能力は短期財務安全性と長期財務安全性に分けることができ、短期の場合の指標は流動比率、当座比率、インタレスト・カバレッジ・レシオがあります。

流動比率の求め方

流動比率=流動資産/流動負債 ×100

流動比率は200%あると望ましいとされます。ですがこれが高すぎる場合、収益性より安全性を重視する企業といえるので、不良在庫のリスクがあると考えられます。

長期の場合の指標は、固定比率、固定長期適合比率、自己資本比率、負債比率などがあります。

固定比率の求め方

固定比率=固定資産/自己資本 ×100 (100%以下が望ましい)

固定長期適合比率の求め方

固定長期適合比率=固定資産/自己資本+固定負債×100 (必ず100%以下)

固定比率は、固定資産(建物のような長く使う資産)が自己資本(他者に依存しない資金)でどれだけ賄えているかを表します。その分母に固定負債を加えたのが固定長期適合比率になります。

これが100%以下でない場合固定資産が流動負債という短期の資金で賄っていることになるので、企業としてはかなり危険な状態であると言えます。家のローンを友達から借りた金で払っているようなイメージだと思ってください。

生産性分析

三つめは「生産性分析」です。こちらは労働者一人あたりに生み出される利益を表しています。一般的には労働生産性を用います。この労働生産性の数値が高い会社ほど、従業員をうまく扱うことができていると言えます。ブラック企業や長時間残業に対する問題意識が近年高まってきており、近年はいかに労働生産性を上げられるかが企業にとっての課題となっています。

労働生産性の求め方

労働生産性(円)=付加価値(円)÷従業員数(人)

控除法の場合、

付加価値の求め方

付加価値=売上高-外部購入価額

加算法の場合、

付加価値の求め方

付加価値=人件費+金融費用+減価償却費+賃借料+租税公課+経常利益

成長性分析

四つ目は「成長性分析」です。成長性分析は、売上や資産、従業員数などのデータの変化から、企業がどれくらい成長しているのかを測る分析方法です。そのため指標には、売上高増加率、経常利益増加率、従業員増加率といった様々な増加率を用います。ここでは増加率を使うということを覚えればOKです。

成長性分析の求め方

○○増加率=(当期○○-前期○○)÷前期○○×100 (%)

増加率が高いことはもちろん企業が成長していることの証になるので高ければ高いほどいいと考えがちですが、成長率があまりにも高いと人材育成や資金調達の面で失敗するケースもあるので注意が必要です。

分析目的は一つだけ見ればOKというわけではなく、四つの分析目的を全体的に通してみることで、企業をより正確にとらえることができるということを頭に入れておいてください。

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財務諸表分析レポートの構成や書き方

レポートの構成はもちろん教授が出す課題のテーマに沿うことが最優先ですが、ここでは基本的な構成をお伝えします。

①前提

「前提」の箇所では、財務分析の計算をしやすくするために、企業の財務諸表で用いた定義や変更内容を説明するときに使います。例えば生産性分析で「付加価値を求める際、控除法を用いた」などのように説明します。これは授業で習ったやり方を用いればOKです。

②財務分析

先ほど説明した四つの分類(「収益性分析」「安全性分析」「生産性分析」「成長性分析」)をもとに分析した結果を書きます。Excelなどを用いて指標計算のフォーマットを作っておくと、これから同じようなレポートが出た際に楽になるので活用してみましょう。

これはレポートを書く上での財務分析なので、自分の求めたい結論が出る指標を多く用いて最後の結論につなげると一貫性が出てわかりやすいレポートになると思います。レポートの文字数によって適宜調整していきましょう。

③結論

ここでは➁の分析をもとに、全体的に見て分析した企業がどうだったかを述べます。企業比較であれば「A社よりB社の〇〇性が比較的高く、より成長の見込みのある企業である。」のように、最終的な結論を述べましょう。

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財務諸表分析レポートの例

ここでは架空の企業Yattoku社の比較分析の簡易例を書きます。かなり簡潔に書いてはいますが、レポートを書く際の参考程度にしてみてください。


財務分析について

1) 前提条件
・付加価値の計算は控除法を用いる。
・当期の従業員数は通年で平均して300人とする。

(以下略)

2) 財務分析
① 収益性分析
当期のROE(自己資本利益率)は7%で、前期の5.9%、前々期の6.2%と比べやや増加していることがわかる。優良企業の指標は10%であるが、○○業の平均が4%であることから、収益性はあるといえる。

② 安全性分析
当期の流動比率は115%と○○業の平均140%に及ばない。前期と比べて減っており、これは設備投資の増加によるものだと考えられる。固定長期適合比率は93%と○○業にもかかわらず固定資産が非常に高く、臨時の支出が起きた際に資金面に不安がある。

(以下略)

③ 結論
Yattoku社の収益性は上がっており、○○業全体から見ても上位に位置するため問題はないといえる。ただ安全性において固定資産が大きく占めることがあげられ、新商品開発のための設備投資の増加が考えられる。そのため今後は設備投資を抑えることが求められる。

(以下略)

財務諸表分析レポートの課題代行なら

以上が財務諸表分析レポートの基本的な書き方の解説でした。

最初にも述べたように、全学生が簿記、ビジネス検定、公認会計士など財務諸表分析に関わる科目を勉強しているとは限らないですし、それでも単位を取るために財務諸表分析レポートをしなければならない学生の方も多いと思います。中には、貸借対照表、損益計算書という言葉を聞いただけでアレルギー反応が出る方もいるかもしれません。

そんな方のために当社のレポート代行サービスYattokuをおすすめします。

Yattokuは新気鋭の代行サービスで、在籍スタッフには会計学徒はもちろんのこと東大生などの高学歴スタッフがいる点が特徴です。また、業界でも数少ない法人業者であるため安心して代行を依頼できます。レポート代行などの文字単価が業界最安値であることから最もコストパフォーマンスが高いでしょう。

財務諸表分析をするような難易度の高い授業は、いくら頑張ったとしても会計専門で勉強している学生には到底かないません。私は公認会計士に向けて勉強しているので、このような授業でも比較的好成績を取れていますが、そうでない学友はとても苦労しているのを見ていたので内情をよく理解しています。

きちんと勉強することはもちろん大切ですが、それよりも単位を落とさず余裕をもって就活をし、卒業できるということが一番大切です。ぜひこの機会にレポート代行サービスYattokuをご利用ください!