昇格試験論文での典型的なテーマである、「職場における私の課題と役割」というお題。
一見シンプルなテーマですが、いざ書くには大変ではないでしょうか。
「自分の仕事をうまく言語化できない」「理想と現実のギャップ」「書くべき「深さ」や「構成」が難しい」
このようなことから、多くの人が「つらい」と感じています。
そこで本記事では、昇格試験論文の「職場における私の課題と役割」というお題で人事を唸らせる例文と書く上での考え方についての解説をご紹介します。
評価基準
このテーマは受験者が「昇格にふさわしい視点とし意識を持っているか」を確認するためにあります。
ここでは、
・自己認識力
・組織貢献への視野
・課題発見と改善への意識
・将来への視座と成長意識
を見ています。
つまり、これは、「自律的に考え、行動ができる人材」かどうかを見分けるものです。
文章構成
主な構成として、
- 導入
- 私の役割
- 現時点の課題
- 今後の改善と成長に向けて
- まとめ
といった風にまとめます。
今回のテーマで重要になってくるものとして「“役割“と”課題“を明確に分ける」ことがあります。
現状の業務内容と期待されていることを明確にし、客観的整理を行います。
・自分のスキル、知識、姿勢などの課題
・チームや職場における改善点
・改善に向けての取り組む意思表示
このような課題を書くことがポイントとなっていきます。
ここでさらに具体例やエピソードを入れることで
・イメージのしやすさ
・説得力up
・オリジナルティが出る
といった効果があります。
減点を避ける「課題」の書き方
「課題」を考える際は、“弱点”ではなく、“成長の余白(余地)”として考えましょう。
「自分の課題を書くと評価が下がりそう…」と不安を感じる人も多いと思います。
課題とは、“弱点”ではなく、“伸びしろ”です。
今回の論文においては、現状に満足せず、より良い方向への働き方を模索している姿勢にこそ評価がされます。
例えば、「自分の業務に集中しすぎる傾向」という気づき。それを課題として捉え、 今後の取り組み方を前向きに書くことで、「自覚と成長意欲のある人物」としてみられます。
このときのポイントは、「“自分ごと”として語る」です。
他責にせず、「だから、自分がこうに行動していきたい」とかくことで説得力が増します。
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成長への取り組み、今後のビジョン
役割を果たすために何をしているか、課題を克服するためにどのような努力をしているかをかく部分です。
ポイントとしては、小さな実践でも構わないので、行動の事実を書くことが重要です。
「週1回のミーティングで、現状報告だけでなく、次に考えられる問題を共有した。また、気づきについての自分なりの解決策を共有し、アドバイスをいただけるように、そこからい他の人からの意見を踏まえて、次週のミーティングまでに案を固めた。」
また、昇格後、どのような働き方をしたいか、どう組織に貢献したいかについて書きます。
ここでは、「役職に見合う視点」と「現実的な行動目標」のバランスが重要です。
「今後は、自分の成果だけでなく、チーム全体の底上げのために、環境づくりを行なっていきたいと考えております。後輩への指導の際には、一方的な指導ではなく「聴く姿勢」を意識し、それぞれの特性に応じたコミュニケーションをとり、後輩育成を行なっていきたいです。」
例文
設定:一般職の中堅社員であり、チーム全体のリーダー。
「私は〇〇部門に所属し、主に△△業務を担当しています。主に後輩職員と業務全体の進行管理を担っています。これまでに培ってきた経験を活かしつつ、業務が円滑にすすむよう日々心掛けています。」
→ 所属先だけでなく、ポジションもかく
「私の役割は、単に現場で作業を円滑に進めるだけでなく、チームとしての成果を最大化することです。そのために、メンバーの得意、不得意と見極め、適切に役割分担をし、メンバーそれぞれの力を引き出すことが重要になってきます。さらに、後輩の育成も大切な役割の一つです。後輩への技術や業務の指導では、自らの業務知識を言語化して伝える力が求められます。」
→ 周りの環境をかく(後輩への接し方など)
「一方で、私にはまだ全体視点が不足しているという課題があります。特に繁忙期には、目の前の業務に追われ、後輩へのフォローが後手になることがありました。さらに、後輩との関わり方自体でも、相手に合わせた指導方法を行うことに課題を感じています。多様な世代や価値観に応じた柔軟なコミュニケーションが求められてくると実感しています。」
→ 自己分析を行い「問題を言語化」
「これら課題に対しては、タスクの優先順を明確にし、後輩にも共有する仕組みを整えることで改善を図っています。具体的には、毎週のミーティングで進捗状況の共有を行い、早めに問題点を洗い出せるように取り組んでいます。また、後輩指導では、一方的な指導ではなく、「きく姿勢」を意識し、相手の特性に応じたコミュニケーションを心がけています。」
→ 具体的にどんな取り組みをしているかが重要
「今後は、チーム全体を見渡す力、動かす力をさらに養い、リーダーシップを発揮できるように努力したい。そのためにも、周囲と積極的にコミュニケーションを図り、チーム全体の底上げし、組織により一層貢献できる人材を目指していきます。」
→ 受け身だけでなく、行動姿勢を示す
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評価ポイントと落とし穴
評価ポイント
・主張が筋道立っているか
・経験や行動が具体的に書かれているか
・課題を明確に捉えているか、甘えなどがないか
・今後の行動の明確化と将来像があるか
・チームや組織全体も見られているか
落とし穴(減点)
・「頑張ります」「努力します」といった抽象的すぎる内容
・実際の行動が見えない内容
・「上司が悪い」「制度が悪い」といった他人のせいにしている内容
・分析されていない内容
・実行力が見えず、現実的な行動がかかれていない
差がつくポイント
・“実体験”などの自分にしかないエピソード
・実際に「やってみた」行動
・“自分”だけでなく、“組織全体”をみて動けているか
・フィードバックの活用
・数年前の自分との比較や、成長手ごたえなどの成長証拠を記載
今回のテーマでは「職場における」というワードから、職場全体も見ることができるかが重要になってきます。
自分自身の課題や改善点だけにならないように注意しましょう。
行き詰ったときの対処法
論文を書いている、手がとまることはよくあります。
そんなときは、以下の方法で視点を切り替えてみるといいかもしてません。
・1日の自分の行動を書き出す
・具体的に“誰”の役に立っているかを考え
・誰かに頼られた場面を思い出す
・理想の自分像との比較
・同僚との雑談
・「課題」から「困っていること」に置き換えて考える
・小さな成功体験を書き出す
行き詰ったときは、とにかく書き出すことが大事です。
実際に書き出すことで自分の行動を見直すことや、再確認へとつながります。さらに、このときの職場やチームの状況も書き出せると、「職場における」という部分につなげやすくなってきます。
また、行き詰まりは、「考えが深まっている証拠」でもあります。焦らずに、自分自身に問いかける時間も大切です。
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まとめ
最後に論文において、一番重要なのは、「正しい」ことより、「自分の言葉で書かれているか」です。
自分の仕事と向き合い、自分の言葉でつくった文章はきっと、読み手にも伝わるはずです。
昇格論文を書くということで、「自分の成長を振り返る時間」になるのです。
書くのが苦しく感じるかもしれませんが、それは、あなたがこれまで、真剣に仕事と向き合ってきた証拠なのです。
自分自身の課題と役割を考える時間を丁寧に見つめ直す時間として、ぜひ、前向きに取り組んでみてください。